RICOH TEHTA X インプレッション
海外で先行発売されたRICOH THETA Xが少し早めに当事務所に届いたので、さっそくどれほどの性能なのかを探るためにいくつかテスト撮影をしてみました。
まず解像度について。11008 x 5504 ピクセルという画像サイズは、すでにパノラマをビジネスで使っている方々、例えば不動産業界や建築業界、中古車販売業界などには必要にして十分な解像度です。また、Googleストリートビューに掲載できるパノラマの最大サイズ12000 x 6000pxにもほぼ届いていますし、Facebookも同様の掲載サイズの制限を設けている状況を鑑みると、Xの11K画像はとても実用的なサイズと言えるでしょう。
XのレンズはZ1に比べるとなんだか頼りなく思えるルックスですが、撮影画像を確認すると、このレンズはイメージセンサー解像度とのバランスが取れた解像力を有していることが分かります。11K画像を等倍で見てもそこそこにシャープネスが認められ、ディティールの表現も悪くはありません。ただこのディティール表現は、被写体によっては潰れ気味になることがあり、気になった部分ではあるのですが、これはレンズとの兼ね合いではなくJPEG圧縮の度合いによる問題でしょう。THETA X開発チームの方にこの点を伺ったところ、「THETA Xはどのような被写体であっても10MB程度のファイルサイズになるようなファイルサイズ優先の圧縮アルゴリズムになっている」と教えていただきました。なるほど、インテリア撮影ではディティール描写の不足を感じることはありませんでしたが、満開の桜の中で撮影した時では、少し遠くにある桜の花びらがベタ塗りのように描写されていたのはそのためだったのかと納得しました。今の時点では被写体によって描写の得手不得手があるようです。
THETA Xは光学的に、これまでのどのTHETAとも違っていて、カメラ内部の光路にプリズムが存在しません。つまり、普通のカメラやスマホと同じように、イメージセンサーはストレートな光路で光を捉えるのです。プロの眼から見て、これはとてもうれしい仕様変更でした。Z1の1インチセンサーを評価する方々は大勢いらっしゃいますが、Z1はボディの中心部に据えられたイメージセンサーへ光を届けるまでに、その光路上にある3つのプリズムを経由させています。難しい話は端折りますが、この3回の屈曲で失われる光のバランス、あるいは光が濁ってしまう影響は、実は無視できないレベルです。ですから、レンズを通った光が真っ直ぐにイメージセンサーに届くというのは、とても大事なことで、実際、Xの画質は好感が持てる素直なものでした。私自身は、JPEG撮影しかできなくても、この画質を知ってしまった今となってはもうZ1に戻れる気がしません。
取得したJPEG画像はAdobe Lightroomで画質調整を行いますが、Xの画像はトーン描写が素直なデータなので、Lightroomでの調整もしやすく、扱いやすいものでした。しかもXの画像にはGPS座標データも付帯しているので、私は今回初めてLightroomの「マップ」タブの存在意義を実感できました。これ、業務で使う方々にとても重宝される機能だと思います。(GPSの精度はスマホと同じぐらいでしょうか?)
話が長くなってしまったので、最後にバッテリーのことを。内蔵バッテリーはスマートフォンとWi-Fi接続しっぱなしで撮影していたら1時間ちょっとで空になりました。それならやはりスペアバッテリーが必要だと思われるかもしれませんが、そこはモバイルバッテリーを使ったUSB給電をお勧めしたいと思います。
私は「Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W」というモバイルバッテリーをTHETAと一緒に持ち歩いています。現場で内蔵バッテリーが空になってすぐにこのモバイルバッテリーを繋いで、さらに1時間ほどWi-Fi接続撮影を続けましたが、撮影を終えた時には驚いたことに内蔵バッテリーは満充電されていました。そして、この時にモバイルバッテリーが消費した電気量はモバイルバッテリー容量の約1/4程度でした。
撮影した画像も見せないまま下手な文章をお読みいただくばかりでは申し訳無いので、THETA Xでテスト撮影したパノラマをバーチャルツアー形式でまとめてご用意しました。”ASAKUSA KANNON SENSOUJI 02″だけ撮って出しのJPEGで、他はすべてLightroomで画質調整しています。ノイズリダクションはほぼ何もしていません。また、カメラ本体の写り込みの小ささ、というかほぼ写ってないことも見ていただきたかったので、Nadirの三脚はそのまま残してあります。それと、Googleマップに貼り付けたPinの位置は、GPSの誤差を修正して正しい場所にしてあります。
ここまで長々と駄文にお付き合いくださってありがとうございました。
上の画像をクリックするとTHETA Xで撮影したパノラマVRが開きます。
そうそう、大事なことを忘れてました。THETA X、動画の画質もなかなかきれいです。条件の厳しい場所で撮影してみましたが、予想以上に画質が良くて驚かされました。私の撮影が下手で絵がブレまくっていますが、このブレを解消できるソリューションがあるといいですね。動画、今のところ全部で4本ご用意しております。ここに埋め込んだ画像はYouTubeの仕様で強制的に低画質にされていますが、YouTubeアプリやYouTubeのウェブサイトでご覧いただければ、この高画質、絵の良さがおわかりいただると思います。よろしくどうぞ。(動画もインタラクティブなので、画面の中でグリグリしてくださいね。笑)