PTGui 12 βと2019国際ロボット展のパノラマ
パノラマスティッチングソフトウェアのPTGuiがメジャーバージョンアップを進行中で、現在β3版がリリースされています。今回のアップデートのハイライトは「Optimum seam placement」と「Zero overlap blending」。
簡単な説明をすると、前者は撮影精度が低い画像のスティッチでもスティッチエラーが現れにくくなる技術で、後者は繋ぎ合わせる画像の重なり部分のブレンド方法を革新的に進化させたものです。
Optimum seam placementは、パノラマ雲台のキャリブレーションが適切に行われていない場合、つまりNo Parallax Pointが正しく得られていない画像を繋ぎ合わせる際、重複する画像の最も類似する領域にスティッチラインを配置します。ですから、キャリブレーションが正しく出来ていればそれほどありがたい技術ではありませんが、これはまたキャリブレーションが適切に行われていても、その撮影シーンに極端な距離差がある場合でもスティッチエラーを生じさせない、というメリットももたらします。
No Parallax Pointは、これを誤解している人も多いのですが、フォーカスに連動して変化します。ですから極端に距離差があるシチュエーションではどうしても視差は発生してしまうのです。
Zero overlap blending。私が特に歓迎している技術です。かつてのSmart Blendの進化形のようです。自然な描写を得るためにやはり手数を必要としたマスク作業がとても少なく済むようになりました。これを一番重宝するのは、おそらく撮影者が制御できない移動体が存在するシーン、分かりやすく言えば、人混みの中での撮影に於いてでしょう。今までとても手数の掛かっていたマスク処理が一気に簡略化できます。
これら2点の改善点の他にもHDRの改善や空撮のデータで重宝するであろう「Fill Holes(穴を埋める)」などがありますが、いずれもそれほどトピックになるようなアップデートではありません。
ということで、PTGui Pro 12β3でスティッチングしたパノラマ、バーチャルツアーをご紹介します。昨年12月に東京ビッグサイトで開催された国際ロボット展の株式会社不二越さまのブースのパノラマです。このようなシチュエーションでは、今回のバージョンアップは大変ありがたく感じられました。
このイメージをクリックすると360°パノラマが開きます。